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実績紹介

開発プロジェクト再編支援

プロジェクトの過去の失策を根拠に刷新システムのローンチ

セブン&アイ・ホールディングス傘下のセブン・カードサービス社のキャッシュレスサービス「nanaco(ナナコ)」は、2021年10月からApple Payによる決済サービスが始まり、iPhoneやApple Watchでnanacoの新規発行やチャージ、生体認証、ポイントから電子マネーへの交換などが可能になりました。コロナ渦中に行われた開発状況について、クリエイティブファームTHE GUILDの大宮聡之氏、NRIの馬勝淳史、星野亮、山口渡に聞きました。

  • 従来システムをふまえて、デジタルへと違和感なく移行させる

    開発プロジェクトが始まったのは2020年春。これまで物理的なカードを利用してきたnanaco会員向けサービスをデジタル化することで、顧客接点を拡大し、さらに利用を促進したいと、同サービスを運営してきたセブン・カードサービス社は考えていました。nanacoの基幹系システムの開発運用に長年携わってきた経緯もあり、NRIがiPhone用アプリの開発を担当しました。全国のセブン-イレブンやイトーヨーカドーなどで利用できるnanacoカードは会員数が数千万人にのぼり、社会的な影響が大きな試みといえます。特に利用体験が重要になるため、UX(ユーザーエクスペリエンス)/UI(ユーザーインターフェース)デザイナーでFinTechスタートアップMoneySmartの代表でもある大宮氏の力も借りることにしました。

    世の中には、デジタル・ネイティブ向けに最新機能を搭載した電子マネーアプリや決済アプリは多数存在します。一方、2007年のサービス開始から長年利用してきたnanaco会員には、デジタルに不慣れな層も含まれます。そうした従来システムの複雑性や従来の会員に提供していた体験を尊重しながら、いかにアナログからデジタルへとスムーズに移行させるかが、大きなポイントとなったのです。

  • 安心・安全とスピードを両立させる

    違和感なくデジタルへ移行するため、「いきなり高度な機能を詰め込むのではなく、リフト&シフトで、まずはデジタル領域にぐっと押し上げて、土台が固まった後で、改善を加えながら少しずつシフトし、最新の決済アプリに勝るとも劣らぬレベルに育てようと考えました」と、大宮氏とともにUX/UIデザインを担当した馬勝は開発方針を語ります。デジタル化により、店内のレジで行っていたポイント交換が自宅で遊休時間に手軽にできるなど、会員の利便性が向上する一方で、これまでの物理カードでは不要だった決済時のパスワードをセキュリティの観点から新たに要求するなど、勝手の違う部分もあります。「一方的にシステムの都合をご説明するのではなく、利用者が疑問に感じるタイミングで、必要なご案内を行うことで、速やかな疑問の解決と納得感の醸成を意識しました」と、開発チームをけん引した山口もUX重視の開発に注力しました。

    「何かの操作をしたら、突然残高がゼロになるようでは困ります。だから、要件定義の段階からセキュリティ診断を入れて、セキュリティチェックを何度も行いました」と語るプロジェクトマネージャの星野は、金融系サービスで欠かせない安心・安全を担保することを常に意識しました。加えて変化の大きい世の中の潮流に対応するために、ウォーターフォールとアジャイルのハイブリッド型の開発体制をとりました。そのためにDevOps基盤を構築し、これにより、必要な機能を段階的に開発、関係者に配布、フィードバックを取り込む、といったフィードバックサイクルを効率よく、短サイクルで繰り返すことが可能となりました。

    従来の開発では、デザイナーが設計し、エンジニアに渡して、ものづくりを行い、フィードバックというように、バトンタッチ型で進めていくのが一般的です。しかし、「トータルの体験づくりは、デザイナーが単純にUIの見た目をつくればいいというものではありません。バックエンド機能も含めて、UXに必要なパーツは点在するので、役割分担するよりも、最初から最後まで、みんなで一緒にデザインしたほうがスピード感につながります」と、大宮氏は考えていました。そこで、関係者全員が議論に参加し、役割に関係なく違うと思ったことを指摘し、誰もが納得した状態で進めたところも、今回の開発の特徴でした。

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